【講座】人生と焼入れ
2019.8.24
機械部品の中には、強度や硬さが求められる金属部品があります。
そのような部品を製作する際、その金属部品を製作する際に施す処理が、『焼入れ』という作業です。
ある特定の条件の金属を800℃くらいまで加熱した後、急激に冷やすと、硬くなり強度が増すのです。
これにより、その金属部品は、硬さと強度を手に入れるのです。
しかし、硬さと強さを手に入れたこの状態が、
「最強の状態か?」
というと、そうでもないのです。
この状態だと、実は脆い性質になるのです。
鉛筆の芯や、ガラスのような状況です。
要するに、『しなやかさ』がないのです。
強くて硬いけど、脆いのです。
この状態になることを、物理の世界で「変態」と言います。
硬く強い材料に、『しなやかさ』を持たせるためには、
逆に少し弱く柔らかくする『焼き戻し』という作業を追加します。
ちなみに、この『しなやかさ』
のことを靭性(じんせい)と言います。
まるで、人生のような言葉です。
このような『焼き戻し』をした部品は、折れにくい、しなやかな強さを手に入れるのです。
すなわち強靭(きょうじん)な力を手に入れるのです。
実は人間も、ただ頑なに熱くなり、強いだけでは、とても脆くなってしまうのです。
ただ強い人というのは、少しの衝撃に、すぐに折れてしまうのです。
この状態を「変態」っ言うのかもしれません(笑)
人生も、『しなやかさ』がないと、弱い脆いものかもしれません。
意思を硬くして頑なになり過ぎるのではなく、
強さで100%乗り切っていくのではなく、
少し優しく、あえて弱さも足すことで、
『しなやかさ』
という、強靭な本当の強さを手に入れるのです。
『北風と太陽』
のようなお話ですね。
金属と人間の妙な共通点でした。
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