これは、いつの世の中でも言えることかもしれませんが、

ハイテクと言われる高い技術を持っているからといって、

売れることとは異なることです。

 

ハイテクは華やかなスターの要素を持っています。

特に製造業のような二次産業において、そのスター性は高いように思います。

 

しかし、時代が情報社会になるにつれ、サービス業に代表される三次産業が発展し繁栄するようになってきました。

高い技術を誇っていた多くの製造業、とくに中小企業は、その技術力だけでは事業が成り立ちづらい状況になってきたのではないでしょうか？

時代と共に、そのビジネスモデルを取り巻く環境は刻々と変化しているのです。

 

第二次世界大戦後、高度成長期時代では、今と比べると比較にならないぐらい情報は閉鎖的でした。

一般の人が情報を得ようと思っても、新聞やラジオ、良くてテレビが情報源の中心でした。

 

その頃、その限られた情報源でしか、情報を得ることができなかった時代では、

一度、商品やビジネスが完成すると、限られた地域に対し局所的に発展していきました。

SNSもネットもない時代です。

その地域を中心に発展し、他の地域には、なかなか情報が伝わりませんでした。

 

そのような環境の中では、ビジネスを立ち上げるのは現代と比較すると、非常に困難であった

時代だったとも言えるでしょう。

思い付きやアイデアが、なかなか伝わらない時代だったのです。

 

その反面、一度売れると、なかなか真似されづらいという環境でもありました。

たとえ真似されても、地域が異なり顧客の取り合いにもなりづらい環境であったでしょう。

 

現代の世の中はどうでしょう？

会社でなくても個人レベルで、しかも大きな資本などなくても誰もが情報を発信できる世の中です。

誰もが小さなビジネスを立ち上げることのできる環境となったのです。

 

逆に、面白いアイデアはあっという間に世界中に広がります。

あっという間に広がるということは、あっという間に真似されるのです。

 

昔は高い技術を持てば、それだけで依頼がある時代でした。

高度成長の中で、作り手が足りず、作れる技術さえあれば売れた時代です。

しかも高い技術があれば、誰も真似できず市場を独占できた時代だったのです。

 

今の時代はどうでしょう？

高い技術があったとしてもその情報が世界中に広がります。

多くの人が、その高い技術によって与えるだろうベネフィット（価値）の存在に気が付きます。

そして多くの人が、全く異なる方法で、そのベネフィットを提供する商品やサービスを作りだすでしょう。

 

ハイブリッドカーなどに例えると、トヨタが高い技術でプリウスを作っても、

ライバル会社が異なる手法で同じ価値のハイブリッドカーを作り、

さらに家電メーカーが電気自動車を作る時代です。

 

高い技術を誇ってきたコピー機の産業も、

今の時代はペーパーレスとなり、顧客もこれまでは紙媒体で保存していた資料も

adobe社のPDFファイルで資料を保存するようになり、コピー機の需要が極端に減りつつあります。

 

すなわち顧客から見ると、求めるニーズを満たす方法が沢山あるような時代になったのです。

顧客は、そのニーズさえ満たせれば手段は問わないのです。

むしろ、利便性が高ければ新しいものに市場は奪われていくのです。

 

技術は、ニーズを満たす手段の一つです。

技術によるイノベーションはとても華やかです。

しかし、その技術に固執してしまうと、時代の流れに取り残されてしまいます。

 

その技術を、どのような価値にして、どのように顧客の元に届け、需要を満たすのか？

すなわちビジネスモデル全体をみるマーケティング思考が必要です。

 

技術は、とても大きなリソースです。

そのリソースは、社会にどのような価値があるのかを、常に認識する努力が必要です。

 

社会は時代と共に変化します。

顧客が求めるものも変化します。

 

私たちは、与える価値が何なのか？を時代と共に問い続ける必要があるでしょう。