ときおり、うちの事務所には飛び込みの営業の方が、営業にいらっしゃいます。

この暑い夏は大変な作業だと思います。

 

数年前のある日、一人で事務所にいると、

一人の飛び込み営業の方がやってきました。

 

｢ちは～、ユ○○○○です！｣

オフィスコーヒーで有名な企業さんです。

 

｢オフィスにコーヒーいかがっすか？｣

的な感じでいらっしゃいました。

 

実は、このとき、この営業マンは超ラッキーさんだったのです。

当時、とあるカフェ会というコーヒーを飲みながらの異業種交流会を、コーヒーショップで主催している時期でした。

しかし、諸事情で会場のコーヒーショップが使えなくなり、

結果的に事務所で開催しなければいけなくなっていた時期で、

事務所でおいしいコーヒーをどのように調達するか、悩んでいる時期でした。

 

｢オフィスにコーヒーいかがっすか？｣

という飛び込み営業のこの方は

まさに天からのお導き。

 

｢おー！ぜひ！｣

と営業マンを事務所に招き入れ、お話を伺うことにしました。

 

どうやら、実際のデモンストレーションをして、試飲をしてほしいとのことでした。

その日程が、翌日ということでした。

たまたま、その翌日に予定が埋まっており、事務所の別の方に試飲を依頼することにし、

その旨を営業マンに伝え、僕の名刺を渡してお引取りいただきました。

 

そして、翌日試飲をお願いしていた事務所の方から連絡があり、

問題ないですよ、とのことだったので、早速申し込もうと心に決めたのでした。

 

しかし、その後、待てど暮らせど営業マンから連絡がなかったのです。

何だかこちらから、わざわざ電話するのもなあ。

早く、コーヒーの契約を済ませたい気持ちもありながら、しばらく待っていました。

 

そして１週間ほど経ったその日、僕は事務所でセミナーを開催し、講師として

講義をしていました。

そのさなか、

｢ちは～、ユ○○○○です！｣

｢オフィスにコーヒーいかがっすか？｣

と同じ調子で、あの営業マンが飛び込んできたのです。

 

しかし、講座中ということもあり、その営業マンに目配せをし、

お引取りいただきました。

この日は、アポイントは取っていなかったので不思議に思いました。

 

こちらも早く契約をしたいのに、と思いつつ

しかし、その後、またもや待てど暮らせど営業マンから連絡がなかったのです。

 

そして、さらに後日、この日は、たまたま事務所にＴＶの取材が来ていました。

人生の中ではじめて、ＴＶ局のカメラに囲まれ取材を受けているときでした。

｢ちは～、ユ○○○○です！｣

｢オフィスにコーヒーいかがっすか？｣

まさかの、あの営業マンです。

 

｢えっ！？｣

と思ったのも束の間、この日はＴＶ局のＡＤさんに追い払われてしまいました。

 

そろそろ、いい加減、契約を済ませたいなと思い、また数日後。

今度は、とある方のご相談を受けているさなかでした。

少し込み入った話で、相談者も涙を流しながら窮状を訴えているような状況でした。

｢ちは～、ユ○○○○です！｣

｢オフィスにコーヒーいかがっすか？｣

 

｢えっ！？｣

まさかの、あの営業マンです。

今度は、さすがに僕が事務所の入口まで行って

｢ちゃんとアポイント入れてから来てくださいよ！｣

と少しきつい口調でお伝えしました。

 

すると、この営業マンは

｢大変申し訳ございませんでした！！！

二度とこのようなことはいたしませんっ！！！

失礼致しましたっ！！！｣

と土下座する勢いで頭を下げながら後ずさりして去っていってしまいました。

 

｢あれ？契約したいのに・・・｣

 

そして、その営業マンが訪れることは二度とありませんでした。

 

僕は、契約する気マンマンだったのにも関わらず

最後の最後まで、僕の気持ちが伝わらない、片思いに終わってしましました。

 

 

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